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KYOBASHI ART WALL 第2回優秀作家展覧会 張 静雯「空白と距離」

「KYOBASHI ART WALL―ここから未来をはじめよう」の第2回優秀作品に入選した作家、張 静雯(チャン・ジンウェン)の展覧会を2023年4月12日(水)~4月23日(日)に開催いたします。本展はTODA BUILDING建設中仮囲に掲出している《冬夜》の実作品に加え、同作に関連するコロナ禍の「時間の空白」と「空間の距離」をテーマにした作品を展覧いたします。

空白と距離

 私は和紙、墨、水干、岩絵具などの素材を使って無機質な風景を描写し、現代人の「孤独」、「記憶」、「不安感」などの感情を伝えたいと思っている。本展では、窓と部屋をモチーフにした作品を展示した。窓の作品を描き始めたのは三木清という作家の言葉に出会ってからである。

――孤独は山になく、街にある。一人の人間にあるのではなく、大勢の人間の「間」にある。

そこからインスピレーションを得て、東京のマンションと窓というモチーフを用い、作品を制作した。窓は私にとって人々の出口と入口を表すものである。そのひとつひとつの窓にストーリーがあり、記憶、孤独、不安の感情が集まる。そして、毎日見慣れた景色、教室や部屋の隅などの場所では、人がいなくても、見えない記憶や感情が存在していると考えている。さらに、空間の閉鎖的な構図を利用して、物語が溢れるような場面を作りたいと思っている。

 2020年から新型コロナウイルスが発生して、世界は時間が止まったような状態になってしまった。そして新型コロナウイルスの影響で、新たな生活スタイルが生まれた。「密」は危険を象徴しており、「距離」は安全を示した。コロナウイルスの感染防止をしていく必要があるので、対策としてオフィス・店頭・飲食店等におけるアクリル板の設置が推進されたのだ。この場所は不思議な空間になっていた。コロナウイルスの感染を防止するために「距離」を保つ新しい生活様式が生まれた。そして人間は毎日にマスクを着用する生活を継続している。周囲の人々の顔や表情など頭の中がぼんやりしているかの印象を受ける。この3年間の時間的「空白」と空間の「距離」からなる日常生活を記録したいと思う。

(張 静雯)

INFORMATION

張 静雯(チャン・ジンウェン)/CHANG Ching-Wen

1979年台湾台中生まれ。2023年多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻修了、博士号取得。主な展示に、2021年「東アジアのなかへ―収斂と拡散 vol.3 容器」(柴田悦子画廊/東京)、2022年「記憶容器」SICF22EXHIBITION部門 グランプリアーティスト展(スパイラルガーデン/東京)、「伏線」(誠品画廊/台湾)などがある。

Photo Report

撮影すべて:加藤 健

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