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KYOBASHI ART WALL 第3回優秀作家展覧会 大竹奨次郎「世界の限界」

「KYOBASHI ART WALL―ここから未来をはじめよう」の第3回優秀作品に入選した作家、大竹奨次郎の展覧会を2023年10月25日~11月5日に開催いたします。本展はTODA BUILDING建設中仮囲に掲出している作品に加え、大竹が大学を卒業後、高校の美術教師として勤めながら日々制作してきた作品を展示いたします。どうしたら絵が描けるのかという問いに真摯に向き合い、描くことを続ける若手アーティストの作品をご高覧ください。

世界の限界

太陽が一周する2億年の間。絵が終わるまでの何週間かの間。
朝、雨上がりの草木の中に斑模様の猫がいて、その体の斑が木漏れ日によってうねるように光り輝きどこかへいって、そのときにすべてがずっと前から決まっている気がして、駅前のバスのロータリーを柔道着を着た兄妹が走って行って、ぼくの頭の中だけに残りそれからとてつもなく長い時間が経って、それでその子たちも見ていた駅前の通りもなくなって、太陽も地球も砕けた後また星ができるのを、何回と繰り返す間。


夢の中に父がでてくるとき、その度に父がもう死んでいることを、夢の世界で忘れている。忘れたことを忘れてしまっている。
食卓で黙って食べてから父が立ち、洗面台に歯を磨きに行った。そのときに、もしかしたらこれは夢で、もうとっくに父は死んでいるのではないかという考えがふと頭に浮かぶ。
キッチンのシンクに置いてあった眼鏡をぼくはティッシュで包んだ。


その夢を夕方になって思い出してパソコンの前に座る。


何十世紀も前に作られ、パキスタンで出土したストゥーパ型仏舎利を博物館で見つけた。
段階的な円はつまり違う次元なんだ。
その形を見ているうちに絵ができると確信する。

※冒頭抜粋 全文 はこちら
(大竹奨次郎)

INFORMATION

大竹奨次郎(おおたけ しょうじろう)

1994年東京都生まれ。2020年武蔵野美術大学油絵学科卒業。卒業後の活動として、個展を毎年開催。2020年「花咲く絵画たちの光」(マキイマサルファインアーツ/東京)、2021年「花についての花 魚についての魚 街についての街」(リバーアンドコーヒーギャラリー/東京)、2022年「竜泉」(Liamgallery/東京)など。

Photo Report

撮影すべて:加藤 健

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